本の紹介 白川静 『呪の思想』



トークイベントのほうでせっせと「日本とは何か」を語っていくためにさまざまなジャンルからテーマを選びあれこれとお伝えしていますが、いよいよ「陰陽」の話ができるまでになりました。

陰陽五行、とセットで語られることが多いですが、陰陽という世界解釈を実生活に敷衍していくのが五行だと思います。
さらに五行の構成要素が十干十二支、というか十干十二支をまとめて五行で解釈していく、どちらがどうと切り離せない、東洋が誇るべきすばらしい「世界の見方」だと思います。

陰陽は「循環」を基本理念にしています。変化することが前提なんです。移り行くもの、変わりゆくもの、立現れて消え去っていく、その流れ全体が「大自然」。そしてその自然の変化を人間が見て理解しやすいように可視化したのが易ですね。

易はすごいです。現状を正確に理解することで過去と未来が同時に理解可能になる。把握できる。流れ移り過ぎ行く中で生命のある一点を起点にして全世界を解釈できる。
知れば知るほど面白い。

そして最初から陰と陽という構成要素がわかちがたく結ばれている。構成要素の中に常に互いを含んでいる。けだし真実であろうと感じます。

白川静という偉大な碩学の対談がエキサイティングかつスリリング、とても面白かったので紹介します。

白川静+梅原猛 『呪の思想』 平凡社



「じゅのしそう」という題名です。

これを読んでから『孔子伝』を読むといい。



『呪の思想』には何葉かの画像資料がありますが白川先生の自筆による「文字」がとんでもなく美しい。一覧表になっている見開きページなど、そのまま拡大して額装して飾りたいくらい美しいです。そして誤字がないwすごいなあと思います。

白川先生の博学、碩学ぶりは有名ですがこの対談の中でも縦横無尽に「呪」という概念をめぐって徹底した実証主義の立場から言葉を尽くされています。そして知れば知るほどもっともっとと思ってしまう。

先生がお若いころのエピソード、後輩の育成、研究の方法、中国の歴史上の人物で誰が一番お好きかなど、興味深い逸話と共にわたしたちが日々使っている「文字」について解き明かし、あらゆる文字は神への祈りからはじまっていると喝破した「根拠」を明示してくれます。

サイという、神への祈りをおさめた器、を起点にして人が神に思いを伝えること、全人格をかけて神に問うこと、そして神とどのように交渉してきたのか、という人類史にもっとも鋭くもっとも深く、おそらくはもっとも「正しく」切り込んだ視点から、白川先生は語りかけてくださいます。

本当に稀有な天才だったと思います。

学園紛争のころにあえて孔子の人生を世に問うたのは「本に書いておけば誰かが読んでくれると思った」という重く切ないひとことの「意味」が『呪の思想』には書かれている。

先年物故なさり既に「神」の世界に移られた白川先生実在時の「異形ぶり」をも、畏れながらも楽しませていただきました。

「先生は詩人ですね」といわれて「三人だ」と答える先生が可愛すぎるw
詩人=四人というダジャレです。

「呪」という文字には本来ネガティブな意味はない。なぜなら、というところからぜひご覧いただきたい本です。





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本の紹介 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2015/10/09 13:42
コメント
一字違い
白川先生って、確かトリノ五輪の直後に、「イナバウアー」って言って、エビぞってました。
うふふ、一字違いでしょっておっしゃって。
お茶目ですよね。

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