THE ICE2016 名古屋公演感想その2 舞ちゃんの復帰



舞ちゃん。大好きです。

今回は舞ちゃんが出演ということでそれもすごく楽しみでした。

ゴージャス。華やか。出てきただけでリンクに光がさしこむような他の誰にもないエレガントで匂いやかな、咲き誇る大輪の花束を背負って滑る人。美しい。

わたしは、その「華」あるがゆえに舞ちゃんはたぶん普通の人生は送れないだろうと思っていました。どうしようもなく人目につき、耳目をそばだて、注目される生涯だろうと。

そしてその内在する「華」の力に引きずり回され、自分でも制御できずに大暴れするのが悲しかった。
本人は大暴れしているつもりはなかっただろうと思います。やむにやまれず、どうにか自分が生き延びるために必死に戦っていたのだろうと。
けれどもその「華」は彼女が一般人にまぎれることや、自らの力量を発揮して輝かずに生きることを許さなかった。

このように生れつく人がまれにいるのです。

たとえば浅田真央。たとえば浅田舞。

姉妹でついたコーチはみんな「舞の身体能力はすごい」と評価した。トリプルアクセルを最初に決めたのも舞ちゃんだった。長い手足、美しい容姿、練習に応じてみるみるうちに上達していく高難度エレメンツ。洗練された動き。

本当に、舞ちゃんと真央ちゃんで「姉妹で五輪」は夢ではなかっただろうと思います。決して「夢まぼろし」ではなかっただろうと。

でも、匡子ママがあとで悔やんでいたように「スケートも勉強も」という方針は舞ちゃんを苦しめた。若く美しく遊びたい盛りの舞ちゃんはスケート以外にやりたいことがたくさんあった。とても、たくさん。

なぜ練習をしないのか、とお母さんが叱り、舞ちゃんが反抗する。その親子喧嘩を泣きながら真央ちゃんが止める。
「ママ、舞、喧嘩しないで!真央がメダルを取ってくるから」

真央がメダルを取ってくるから。

そして実際に取り続けた。

舞ちゃんの姿はリンクから消え、「若さ」と「外見」だけで人の値打ちをはかられる芸能界に去っていった。

誰も悪くはない。誰も悪くはなかった。

ただ、真央ちゃんほどストイックにスケートにすべてを捧げることは、舞ちゃんにはできなかった。無理だった。

いろいろあっただろうと思います。

でも、舞ちゃんがリンクに戻ってきた。
ファンを見捨てずにいてくれた。
待ちわびるファンのために戻ってきてくれた。
もうそれだけで十分なのに、舞ちゃんもどえらいことをやらかしました。

会場MCによると「ブランク六年、練習期間三か月」だそうですが普通にダブルアクセル決めていました。ビールマンスピンも決めていました。荒川静香の必殺技の手放しY字スパイラルももっと綺麗なポジションでもっと華麗に決めていました。

ねえ、舞ちゃんおかしいよwwwww
そもそもなんで戻せるのwwww

普通に現役だよwww
普通にとてつもなく綺麗で華麗なフィギュアスケーターだよwwww

目指せ目指せ五輪目指せwwwwwキーラ・コルピ引退後の「存在加点」でまず100点だwwwww

体もめっちゃ絞られていて綺麗なこと綺麗なこと!

真央ちゃんと一緒に滑って見劣りしないどころか、ときどき真央ちゃん以上にはっと目をひく美しいポーズがさまざまあった。
美麗アティチュード。並ぶと真央ちゃんは体操選手だ、と感じます。完全に正しい位置に手足がある。流れの中で瞬間、瞬間、常にあるべき場所に手足がある。これってたぶん1億人にひとりくらいしかできないことだと思います。これも奇跡のひとつです。

しかし舞ちゃんは、さらに驚くべきことにもっと「立体的」に動くことができる。
ふくらみをもって、しなやかさをもって、正しい位置からより美しい位置に手足を、全身を、自在に位置させることができる。これも奇跡のひとつです。
あの高速移動のただ中で美しい瞬間しかないように自在にコントロールできる。
これは「才能」です。ギフトです。
こういうセンスは生まれ持ってのものだとしか思えない。

舞ちゃんが持っている「華」も、身体表現をする者なら全員が何をおいても何を犠牲にしてでも手に入れたい、得たいと乞い願うものです。しかし残念ながら誰でもが得られるわけではない。むしろ望んで望んで焦がれながらも手に入れられず、身につけられずに生涯を終わる人もたくさんいる。そういう人のほうが多いでしょう。

うまいが地味だ。ちゃんとしているが魅力がない。など、残酷きわまりない正直さで観客は演技を見る。

舞ちゃんは生まれながらに表現者として非常に重要な「人を魅了する力」を持っている。華やかさ、というチカラを。

そしてあの身体能力です。普通は戻せませんよ、いくらがんばったところで。

たとえばスピン。名古屋一日目。途中で力尽きてもう一回周り直していた。二日目。まるで振付の一部のように華麗に美しくはあったものの、スピン途中でゆっくりと倒れていった。驚きました。しかしスピン自体は明らかに初日より長時間、いい形で回っていた。名古屋三日目。もう堂々とビールマンスピンを回り続けた。しっかりと軸が取れた美しい形のビールマン。
これは真央ちゃんのほうが美しいポジションでしたけれども。

だから舞ちゃんは毎日氷に乗ったらいい。いろんなショーに出たらいい。オファーがあったら受けたらいい。
滑れば滑るほど確実に上達するのですから。

そして舞ちゃんがあれほどいきいきと幸せそうに見えた瞬間はなかったですよ。本当に輝いていた。

いるべき場所にいてやるべきことをやっている。自分の本来性を発揮して、何の不安も心配も恐怖もなく、ひたすら「自由に」疾走していた。美しかった。

舞ちゃん、おかえり!

たぶん舞ちゃんは「自分の心」と和解したんだ。自分を責めて、許せないと憎んで、そう思ってしまう自分を嫌って、自分で自分を苦しめていた。
そんなことはもう忘れてしまいなさい。
だって舞ちゃんは素晴らしい。
その心が、努力する姿勢が素晴らしい。

ファンを見捨てずにいてくれてありがとう。舞ちゃんのスケートという奇跡を共有してくださってありがとう。
感謝しかありません。

舞ちゃんらしくある、というのは何をしても人の歓びになる、ということだとわたしは思うよ。本当に。
そしてそんなふうに生まれつき、そんなふうに「自由に」生きることを許されている人はごくわずかだ。ほとんどいない。
舞ちゃんはもっともっと人前で光輝いたほうがいい。それもできればスケートで。

もちろん、舞ちゃん本人の意思、舞ちゃん自身の幸せが最優先されるべきです。それは何度でも確認しなきゃ。
でも、もし自分のハートに問いかけて「いいよ」という答えが出されたら。
これからもぜひスケートを見せてほしいなと思います。

それにしても三か月であそこまで戻されたんじゃ真央ちゃんもたまったものではないですねw
かつて真央ちゃんが「ライバル」と言ったのは舞ちゃんだけです。あとミライちゃんもすごいと言っていた。
「舞がライバル」
そのライバルがぐいぐいと距離を詰めてきたひにゃあ、真央も頑張る!と奮起せざるを得ないでしょうし、現役トップスケーターの中で滑る恐怖を持った舞ちゃんを優しくサポートしたり、アドバイスしたり、完全に逆転した立場からお母さんのようにお姉さんのように、真央ちゃんは舞ちゃんを支えたはず。

演技中、ずっと舞ちゃんを優しい優しい目で見守っていて「これはどこかで見たことがある」と記憶をたどると、わかりました、エカテリーナ・ゴルデーワ&セルゲイ・グリンコフです。セルゲイがエカテリーナを見守る目だ!演技中、決して彼女から目を離さず、タイミングを常にはかり、大切な宝物のように彼女を支えていたセルゲイだ。

ああこれが「愛」ってものなんだな。と思い、あふれる涙を抑えられずにいました。

姉妹プロ。

アップテンポなのりのりのダンサブルなものからしっとり優しい演目まで、完全に表現しきっていた。
そして真央ちゃん発案だという布を使った演技。
オレンジのグラデーション、ふたりもまるで沈みゆく太陽に照らされた夕焼けに染まったような素敵な衣装でゆったりとおおらかに、時にはシャープに夢のような舞を見せてくれました。

ふたりの演技は本当に「大きい」。
リンクがことさらに狭く感じたし、ものすごくコネクトできた感じがしました。

舞ちゃんはトークショーの司会もばっちりで、姉妹プロの衣装のまま「暑い暑い、汗が止まりません」と言いながら滑らかに楽しくこなしてくれました。

舞ちゃんがストイックに鍛錬してシェイプアップしてきた細い腕にはしっかりと筋肉も乗り、世にも華麗なポーズを繰り出し続ける都度、その痩せて細くなった腕にくっきりと腱が浮かび、その痩せた腕が舞ちゃんの「勝利宣言」に見えて泣けました。

「わたしは自分に打ち勝った」という誇らしげな宣言です。

舞ちゃん。大好きだ。

どうにかして舞ちゃんとつきあえないかと真剣に悩みましたとも。ええ。まんまと陥落させられて魅了されまくってしまいました。

てへ☆





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THE ICE2016 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2016/08/24 10:52
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