「学者の論争」の一例紹介



論争というと思い出すのが『出雲国風土記』が後世の偽作だという主張に対して学者先生がその主張を木っ端微塵に粉砕しているアレですね。「学者どうしの喧嘩は怖い」ということが骨身にしみます。
出雲大社さんからの依頼でものしたということで、やっぱりわけのわからないことを言い出されて神社さんサイドも困惑したごようす。そこでとんでもない大御所に「証明してください」ということに。

できるだけ中古は避けたいので出版社に電話して確認しましたところ、全八巻プラス別巻のうち残念ながら2と7は完売で在庫なし。ほかは少しだけあるそうです。
定価は一冊一万円。
中古のほうが安いので紹介しないほうがいいのかなと思いますが姐さんもあせって一巻は中古で買ってしまいました。
あとで定価で注文しよう。

現代神道研究集成 1


一巻の田中卓先生の「出雲国風土記の成立」がまあ「大虐殺」ですごいんです。へたな映画や小説よりもスリリングでホラーです。

薮田さん、なんで適当なことおっしゃったん?となんにも知らない無知無知な姐さんですら読み進めていくうちに背筋がゾゾゾーっとしてくるような、それこそ極上のホラーかミステリーを読むような感動と興奮と恐ろしさに包まれます。

学術的興趣、高揚、歓喜というのはこういうことかと思わされます。

この「恐ろしさ」を共有したいwwwぜひ読んでほしいwwww難しくないです。「絶対に万人にわからせる」つもりで書かれていますので。だがそこはそれ縦横無尽に論を張るおいさんなのでもう薮田さんのライフはゼロよ!になっているわけです。わたしまで泣きそうwwwww「ごめんなさいごめんなさい」と泣き叫びたくなります。

図書館で所蔵されているところもあるのかな。平成十年発行で神社本庁が企画、発行は株式会社神社新報社です。
平成十年の本なのに「古い本ですね」と電話口で言われました。むむむ、この出版社にしてそうなのかと思います。

日本史は、古くから日本人がみんなメモ魔だったおかげで文献資料に事欠かない。原本がなくても写本がある。そこでモノホンの学者先生はできるだけ原典にあたり異同齟齬をつぶしていき「自分の論拠」となる物証を重ねていく。地道でキツくて、だけど「これだ」というものにぶち当たったときの手ごたえはいかばかりかと思います。

「探求していく手法」と「論陣を張るときの手法」は別なんだなあと思いますし、なにしろ論争ですから「万人にとって明快に提示する」ことが絶対的に必要で、ことに原本に触れることもなければなんなら学校で教わることもないような姐さんのようなアンポンタンにとては「わかりやすく」は本当にありがたい。

学者の論争といえばある人は邪馬台国の所在だったり南北朝はどちらが正当かだったり天皇機関説だったりさまざまでしょうが、「あるだけの物証を本気で全部調べ切った」方の論陣は緻密で重厚で洒脱です。軽々と殺戮ですwwww

かっこいいとはこのことだ!高校くらいの教科書に全文掲載してほしい。

「適当なことを言うとこうなります」と。

ただ、「おまえの論拠の正当性を示す証拠は何もない」と指摘し得る知性と教養と知識とが「まだある」人が果たしてどのくらいいるのだろう、と自分のオツムの出来に応じて悲しんだり嘆いたり。もっといっぱいいてほしい。
そこでときどき「震えあがるために」読み返すことにしています。
こんなにも痛烈に鮮やかにぶった切るってどういう気持ちwww怖い怖いwwww大好きだ卓先生。

薮田さんはこの後も息をしていたんだろうか。若気の至りと奮起してちゃんと調べるようになったのだろうか。何ンにも知らないわけですが。怖い怖い。

あと、『古代日本の権力者』


これは、松前健先生の論文目当てで入手しました。松前先生は折口信夫に直接教えを受けた人で学徒出陣からの復学後、めざましい活躍をなさった方です。一般向けのエッセイも出ているので「日本神話」を該博な知識と広範なエリアから再検証した内容をかみくだいて知りたい向きには最適かと。

『日本神話の謎がよくわかる本』


これ、謎はよくわかるんです。でも謎の答えを知りたくなって結局松前先生の本気の論文に手を出さざるを得なくなるという罠が待っている。めちゃくちゃ面白い上に今まで常識だと思っていたことへの「えっ!?」が盛りだくさんで楽しいです。
なんだろうな、松前先生が持っている「ものすごい客観性」のすごさはどこからくるのかな。
さまざまな「前提」に「それはどうかな」を矢継ぎ早に出してくる、その見事さに惚れ惚れします。

一冊だけ別の本で松前先生の主張に疑問を呈している人がいました、だが先生がAといい、ほかの人がBというのを、自分はAとBと両方だと思いますという主張で「え、なんかずるい」とちょっと思ったり思わなかったり。
不勉強なのでもっと大勢の検証と批判とを松前先生も経ているはずですが今のところそれだけしかみつけていない。
やるなあ、というかんじです。

わたしは、できるだけ古くて遠い時代の論文集から始めることにしています。なぜかといえば、現在主流の学説はそれらの上に立っている。それらの否定と賛同と敷衍から成り立っている。だからいろんな先生方が採用している「前提」を知っておきたいのです。

今回の紹介は、だからそれでも「新しい」部類に入る。松前先生はちょうど中間地点にいらっしゃって、わたしのような無知な者にも「わかる」書き方をしてくださっている。ありがたいことだと思います。

急がないと自分も含めてみんな故人になってしまう。
「日本ってすごい」「日本の本物の知識階級ってすごい」と驚くために、感動するために、そして「そんな日本」に住む「日本人」である「ほかならぬわたし自身」の生き方の再チェックのために、ときどき読み返すようにしています。

関西の学者さんは「現物」を手に取るチャンスがあるんだもんなあ。これは「強い」よ。東京は明治以来だから勝負にならない。文化庁移転は当然かなと思ったり思わなかったりいたします。

それからネット社会のありがたさ。写本をそのまま掲載なさっているサイトさんもいくつもあり、もちろん公的な機関のそれもあり、ありがたく活用させていただいております。

ある夜に「ああ、あの写本のこの三文字を確認したい、なに天皇って書いてあるんだよぉ」と思ったときに試しに検索したらヒットしたときのあの感動!ありがてえありがてえ。

ということで「わたしが何に一番興奮するか」という話でした。

真央の演技と、へんなことを主張する学者・権威者・自称エライ人☆が正しい論拠と優れた思考で思いっきり粉砕されるとき、かな。性格悪ーーいwwww

そうだ、これ『古代日本の権力者』


原田大六さんが怒り狂っています。それはもう怒髪天を突かんばかりに激怒しなさっている。
おちついて!と十五回くらい言いましたワタシwwww
こういうふうに言いたいことをそのままいう人は絶対に学閥社会と無縁だろう、特に絶対に東大京大じゃないはずだと著者略歴を見て納得。フリーでないと言えないんですよね。わかりますわかりますwww

あと怒りすぎててばっさりと全否定した通論に対する答えを書くのを忘れている。自分の考えを全部書けと申し上げたい。が、それには紙幅が足りないのですねわかります。ああ、お元気なうちにお会いしたかった。
絶対講演会を依頼する。「うちの先祖もそう言ってました!」と合いの手打ちまくるわwwww

考古学のほうでも出土品の検査の精度が年々高くなっていくので、工学実証衛星「はやぶさ」が持ち帰ったイトカワの砂も後世の技術に任せるために「何もしないで保管」しているのと同様、かつての定説があっさりひっくり返されることも往々にある。
それらの激流のただなかで古典原文に直接あたり、各種写本を精査調査し、発見と感動に向けて黙々と邁進なさる歴史の先生たち諸専門家たち。
「すごい」なあと感服です。

わたしも市井の一庶民として「できること」を続けようと日々勇気をもらっています。

本当にすごい。エキサイティングかつエモーショナルかつスリリングかつ「なんでそんなこと言うたんやwww」を味わえる「学者の論争」の恐ろしさ。ありがたやありがたや。





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日本人として生きるということ | コメント(0) | トラックバック(0) | 2016/12/20 16:00
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